エンジンが違うんだ
人がふと見せる瞬間に、目を奪われることがある。
輝く舞台の上だったり
夜風の中の背中だったり
片隅のデスクの横顔だったり
人がきらめいて見える一瞬がある。
人間には、ほんの些細な何かから、言葉に表せないものを感じ取る能力がある。
自分にもその瞬間はあるのだろうか。
最高に格好いい姿を目撃した時も、グラスを置いた、とかだとわざわざ伝えない。
自分にもあるに違いないと信じたい。
一番記憶に新しいのは、「タバコを吸う姿がきれい」だった。
素直に嬉しい。
でもベランダで吸っているとき、窓に映る自分を見たときは全くそう思わない。
意図しない、真剣さや想いのにじみ出るような瞬間の格好良さも素敵だが
自分が最高に輝ける瞬間を見せつけられるのもまた素敵だ。
まあ見ていてくれ、と宣言して華麗に何かを成し遂げてみたい。
「何か」のイメージは全く以てつかないけれど。
「今日イチのオレを見せます!」というロゴの入ったTシャツを
陸上部の仲間がよく着ていた。
トップじゃなくてもいい。
最高に格好いい瞬間を自分も手に入れたい。