きっと独りで生きていく。

ただのライフログ。

people talking without speaking

また不思議な夢を見た。

 

また私は学生だった。転校生だった。

夜更けに集まったクラスメートの約半数が半透明だった。

幽霊に近い存在のようだが恐怖心はない。

ただ、顔の判別がつきづらかった。

 

翌日の朝礼。日の光は影響するのか、辛うじて輪郭がわかる程度にしか目視できない。

触れることはできず通り抜けてしまうので重なってしまわないよう気をつけながら整列する。

幽霊クラスメートが号令をかけたらしいが生身の人間である私たちに声は聞こえず、幽霊たちだけが礼をした。

学級委員のような人間がそれを指摘した。

 

なんとなく言いづらい雰囲気ではあったが、正直に手を挙げて「昨日は認識できたが、彼らの声を本日は認識できなくなっているようだ」と申告した。

学級委員は頷いて、恐らくそうだろうとは思う、というような返事をした。

 

学級委員は幽霊(幽霊という呼び名ではなかった)と人間は違う存在であること、

違うが故に亀裂が生まれる恐れがあること、

人間たちに肩入れし過ぎて幽霊たちを差別するようなことがあったら許さないこと、

を私に説明してくれた。

 

日に日に幽霊たちは薄くなっていって、ほとんど認識できなくなった。

人間の友人たちも同じのようだった。存在を誰も意識しなくなった。

廊下に広がって友人たちと歩く。

見えないのだが幽霊たちは平気な顔でぶつかられている(通り抜けられている)ことになっていると思うと気にはなった。

 

廊下にある長机にスナック菓子の袋が積み上げられていた。

ふと菓子が動いたように見えて、幽霊が誰かいるのがわかった。

少し脇によけて通り過ぎようとしたとき、動きに不穏なものを感じた。

いるであろう位置に、どうしたのか、と声をかけた。

瞬間、強風が吹いた。

 

風が止んで、幽霊がいなくなっているのが何故だかわかった。

菓子の袋を見た。デザインが崩れていた。

そこにいた幽霊はその菓子の袋をデザインした本人で、

製造ミスで正常にプリントされなかった製品を見てショックを受けていたのだとこれまた何故だか理解した。

それが私の認識した最後の幽霊の同級生だった。

 

ある日突然、学校から幽霊たちがいなくなっていることに気がついた。

いないも同然、なのではなく本当にいなくなっていた。

姿も見えない彼らがいなくなったことにどうして気づけたのかはわからない。

あの人間の学級委員もいなくなっていた。

いつ、どうして、どのように存在を消してしまったのか、

誰も教えてくれる人はいなかった。

 

印象的な夢だった。