君の耳を目を心を通り抜けたモノ全て
目は口ほどに。
先輩と同僚と飲みに行った。
合流したときには2人はもう出来上がっていて、いつも通り振り回された。
独りで生きていくなんて微塵も想像しない2人の話にはまるで共感できない。
それをわかっていていつも一緒にいてくれる。
先輩は帰宅し、同僚と飲みなおす。
誰かと生きていくことが幸せであることが前提で同僚は話をする。
だからその前提で話をされても共感できないんだって。
そもそも思想が違うんだって。
どうしたって話が食い違ったまま続かないからもう振らないでくれよ。
そう言えば、頑固だなぁと同僚は笑う。
不意に、綺麗な目だな、と同僚が言った。
どの部分を褒めてくれたのかわからないがとりあえず無視して、
「綺麗な色だろう?」と答えた。
自分で言ったのは初めてかもしれない。
同僚は「本当に」と返してくれた。
鏡を覗かなければ自分では見えないのが残念ではあるが。
両親からもらったものだが家族の誰にも似ていなくて、
周りの誰とも違う色をしている髪と瞳は気に入っている。
自分だけがもらった特別なものだ。
そういえば恋人は瞳の色を好きだと言ってくれたことはなかった。
そういえば瞳の色を褒めてもらったことはあまりない。
自分が好きなところは他人は好きになってくれないものだな。
どの口が言うのだと自分でも思うが。