突然降りだしたこのスコールみたいに
ドラマチックなエンディングは突然に。
書類を先週から探し続けていた。
前々期以前の書類が丸ごと見当たらない。
前期担当者とは誰とも話したがらなかった。彼が退職してから完全に行方不明だった。
どうしてもその書類は必要だった。
その書類が見つからずに責任をとるのは私ではなかった。
しかも他部署の方だったから必死に探していた。
それでも目前に迫った期日までに見つけられない可能性がいよいよ高くなってきて、
代替案を相談していた。
緊迫した様子を見ていた同じ部署の同僚と上司が一緒になって探してくれた。
誰もその書類を見たことがなかった。誰が管理していたのか誰も知らなかった。
やっぱり見つからなくて、残るは倉庫にある何百の段ボール。
どこにもないならあそこしかない。でも明日までに見つけられないかもしれない。
皆が黙った瞬間、ロッカーの向こうから壁を叩く音と上司の声。
見つかった。誰も書類があるとは思っていなかった場所だった。
上司がたまたま今日その部屋に入った。
書類が少し保管されているのをそのとき知り、ふと思い出して探しに入ったら見つかった。
そこに書類を移したのが誰だったのか、もう誰もわからない。
そこにいなかった誰に話してもとるに足らない出来事だった。
お騒がせしたことを当の他部署の方へ謝りに行けば呆れていた。
だけどその様子を見ていたから笑ってくれた。
関係ないような顔をしていた人も、居合わせた人は皆「ドラマみたいだ」と言った。
全員が主人公じゃない、舞台裏のような日常のドラマは世界中で起きているはず。
あの窓の光の中でどんなドラマが起きているんだろうとよく想像していた。
ドラマはいつだって想定の範囲外。
毎日はいつだって想定内に収まってくれない。