緩やかに朽ちていくこの世界で
今までいろんなものを駄目にしては捨ててきた。
久しぶりに焼き餃子を作った。
テフロン加工のフライパンが焦げ焦げになった。
皿をかぶせてひっくり返して振っても餃子がなかなか離れてくれない。
フライ返しを突っ込んで剥がそうとしたがそもそもフライ返しが入らない。
あれこれしてたらあちこち火傷した。
このフライパンももう限界か、と思ってはいたのだが本当に駄目みたいだ。
調べてみたらテフロン加工の寿命は2年程度らしい。
買ったのいつだっけか、と思い返してみたら少なくとも5年くらい前だった。
フライパンを使っての調理はあまりしていなかったので、まあそれくらいか。
買い替えるのは決定事項として、鉄のフライパンにしようかと考えた。
あまり使わないものに手間暇かけるのは無意味という結論に至って、やめた。
安いものを使い倒してまた駄目にして買い替えるのを繰り返す。
形あるものはいつか壊れる時がくるとはいうけれど。
大切にしたらずっと一緒にいられるものを守り続けるより
すぐ駄目になるとわかっていて痛みなく捨てることを選ぶようになる。
いつかは失う、ことを理解すると、
いつか自分は捨てられる、こともすんなり理解できる。
悲しい言葉を使うが悲しいことではない。