黒く塗らなきゃ生きられない
今日はもう少し早く帰る予定だった。
立て続けの会議から戻ってきた上司たちが持ち帰ってきた話が重い。
今からやるのですか、と聞いてしまった。
よくもまあこんな難しいことを考えつきますね、と上司のため息。
理解するまでがすでに長い。
あまりに処理が複雑なものだから簡潔に処理できるように組み替えた。
その複雑な処理全てが経営陣には必要なものであったらしい。
簡潔に処理できるようにするまでも、それを説明できるようにするまでも
私にとっては簡単なことではなかったからなんだか気に食わない。
だが思い出したのは牧場物語2のこと。
不朽の名作だ。
この作品はリメイク版が出ることは決してないと聞いたことがある。
プログラムが複雑すぎて、もはやプログラムではないと言われているそうだ。
感動は非効率の中にあるとは誰の言葉だったか忘れた。
大した話ではないが、気に食わないことに変わりはないが、
目の前の誰かが喜ぶ顔を見たければひとまず捨てなければならないものもある。
ならばと迷わず捨てられる人になりたかったような気がする。